ウイグルのリズム



ウイグルのリズムは多種多様。
日本人には馴染みのない5拍子や7拍子なんかも、いとも簡単にやっちゃいます。
ここではウイグルのリズムの典型的な例を、いくつか簡単に紹介致しましょう。

ウイグルの2拍子

(1)は一番踊りによく使われるリズムです。
新疆へ行って何か音楽が流れてきた時、
このリズムを一番多く耳にするでしょう。
また、単純でありながら一番耳に残るリズムかもしれません。

ダップ(大概は中を使っています)の低い音が下段、高い方が上段で、
ドゥーン・タ・ドゥン・タ・・・と絶え間なく叩かれます。
このリズムを聴くと、じっとしていられなくなる(笑)。

(2)は、(1)のヴァリエーションと考えたら良いですが、
幾分リズムが細かくなっており、テンポが早めの曲によく使われています。
アクセントの位置をよく見て下さい。南米のサンバと同じリズムですね。
このリズム大系は、世界各地でよく見られますが、その民族性と使用される
楽器によって、違う様に聞こえるところが面白いところかもしれません。

因みにサンバの場合は、一番最後のアクセントが一番強拍になり、
他のアクセント部分より短めですが、ウイグルの場合は
どのアクセントも均等にされる場合が多いです。

(3)は、更にリズムが細かくなったものです。
大ダップか中ダップを股に挟んで叩かれる場合が多いです。
(1)(2)が歌や踊りの曲によく見られるのに対し、
(3)のリズムは器楽曲(合奏曲)などに比較的多く使われています。


ウイグルの3拍子

2拍子の様に典型的なリズムと言うのは定めにくく、
下の(1)(2)以外にもヴァリエーションを入れると、数え切れない程あります。
ここでは、2種類だけ紹介致しましょう。

(1)はワルツと同様、男女がペアになって踊る時にも使われます。
西洋のワルツである3拍子の様に、1拍目に重みは来ず、
やはり均等に扱われる場合が多いので、単調に聞こえるかもしれません。

(2)は12ムカムによく出てくる3拍子リズムです。
小ダップで叩かれる場合が多いです。
このリズムだけ見ればまだ簡単な様に思えますが(でもないか(^^;)、
実際はここに他の楽器が加わりメロディーラインを弾くので、それと合わせて叩くと
どんどんとリズムがずれてくる様な錯覚を起こし、慣れない人は1拍目がどこか
解らなくなってしまう場合もあります。
単純な1小節目に対し、細かなリズムの2小節目、その対比が面白いですね。

ウイグルの4拍子

これも種類別に分けるのは困難ですが、1つだけ典型的で
よく聴かれるリズムがありますので、それを紹介しましょう。

下の4拍子のリズム、かなり細かいですが、賑やかな音楽を演奏する時によく耳にします。
ダップで叩かれる事もありますが、どちらかと言えばこの場合はウイグルの
ティンパニーである「」で叩かれる方が多く、相方の
楽器としてはチャルメラのスナイが相性良い様です。

客寄せのチンドン屋、結婚式のイベントでトラックに乗って演奏される時、
その他踊りの時など、最高潮に達した時にこのリズムがよく出てきます。

私がウルムチに滞在中、休日には外から1日中このリズムが聞こえてきました。


ウイグルの5拍子

「ウイグルの5拍子」書きましたが、このリズムをよく使うのは
実際を言えばウイグル人よりタジク人の方が多いのです。
ただウイグルでも12ムカムによく出てくるリズムである事も事実です。

ウイグルの5拍子とタジクの5拍子、何処が違うかと言えば、
タジクの5拍子はよくよく数えると、音は5つあるものの、実は7拍子系なのです。
日本で言う「337拍子」みたいなものなのでしょうね。

下のリズムは12ムカムで使われる5拍子です。
4分の5拍子でなく、8分の5拍子なので、幾分テンポが速く、
これも慣れないと何処を叩いているのか解らなくなってしまいます。

ウイグルの6拍子

6拍子は他の拍子より、オーソドックスかもしれません。
しかしこれも色々なリズムパターンがありますので、総てを書ききれる訳ではありません。

大体が前半の3拍分は簡潔に、後半3拍に飾りを入れリズムを細かくする、
と云うのが特徴ですが、時に逆も存在し「シチリアーノ」のリズムを
思わせるかの様な曲もあります。


ウイグルの7拍子

さあ、こうなったらもう日本人はお手上げかもしれません(^^;。
7拍子は混合拍子なので4+3か3+4拍子と分けられ、
それぞれのブロックは単純なのですが、それが混ざると、下の様にややこしくなります。

(1)と(2)を比較してみて下さい。
譜面上からすると(1)の方がリズムが細かいので難しく思えるかもしれません。
しかし、実際やってみると(2)の方が遙かに難しいのです。

(2)は12ムカムによく出てきます。
第1マシュラップのほとんどはこのリズムから始まっています。
3+4拍子ですが、この3拍部分を2分割にして叩き、
その後の4拍子はそのまま・・・と云う具合に、同じ音2つでも数え方が違います。

この(2)のリズムに更にヴァリエーションを付けて、パターンが変形しますので、
これはもう身体でよくよく覚え込むしかないのでしょう。
カシュガルの結婚式で、楽譜の読み方も知らないダップのおじさんが
拍子を頭で数えずいとも簡単にこのリズムを叩いていたのには
もう脱帽もんでした。

その他、ウイグルのリズムの中には、9拍子・12拍子・13拍子などなど多く存在します。
12ムカムなどには時たま「4分の2ヵ2分の1拍子」(8分音符を基準にすると
8分の5拍子)なんて表示もあったりして、度肝を抜かされます(^^;。

また、無拍子もあり12ムカムの序曲である「バスムカム」などは、
決まって無拍子で、浪々と歌われます。

の無拍子・有拍子の理論は日本の小泉文夫氏が言っている様に、
日本の「追分スタイル(拍子のない曲)」「八木節スタイル(拍子のある曲)」の
大きく2種類に分けられ、そのスタイルはアジア地域に多く分布し、
東南アジアから日本、シルクロードを通りモンゴル、ウイグル、トルコ、
そして東ヨーロッパのハンガリーまで1つの大きなラインで結ばれているのです(^-^)。

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